月輪の都 『片翼の月』・かたはのつき・
2004年9月14日夜露を凌ぐ 大樹の陰も、今は この身に 遠くあり。
瞬き翔けた 大空の矢も、今は この身に 遠くあり。
動かぬ羽は 枷の如くに 重さを増して、
引きずり歩く 他は無し。
残りの片翼を 切り落とし、嘗ての姿を 打ち捨てて、
過去の総てを 葬り去って、両目を瞑って 行けたなら、
背負うた定めの 業より放たれ、
やがて 消え行く事が できるのだろか。
例え 望みはしなくとも、やがて朝陽が昇るよに、
遥かな天空、色を写した 夜は来る。
心 躍らす幸福な、歓喜の時を 過ごしても、
眼 瞑る凄惨な、戦の果てに 立ち尽くしても、
眠らぬものなど、この世に居ない。
月齢刻む 暦を宿し 産まれきた、
総てのものは すべからく、見えぬ支配に 身を委ね、
廻る星に 想いを馳せる。
眠りを忘れて しまえたら、希望など 持ちはしないのに。
眠りの度に 押し殺したはずの、 心が 眼を覚ますから、
眠りを終えた その時に、奇跡を待って、啼くのだろ。
腐りの痛みを 枕に変えて、うつつの眠りに ぼんやりと。
過ぎた事を 嘆いても、無為な事だと 知りながら、
手放せないのは 何故だろう。
産まれた姿に こだわり続け、役目を終えた 翼を抱え
この身に 壊死が移るのを、密かに待って いるのだろうか。
腐食が進んだ 片翼は、朽ちた色を 添えたまま、
欠けた骨が 顔を出す。
背に突き立つ 刃のように、たたんだままの 翼が揺れる。
声を無くした 慟哭が、風を呼んで 弄るだけ。
月よ 導け、行く先を。
月よ 命じよ、選択を。
月よ 片翼の意味を 宣れ。
瞬き翔けた 大空の矢も、今は この身に 遠くあり。
動かぬ羽は 枷の如くに 重さを増して、
引きずり歩く 他は無し。
残りの片翼を 切り落とし、嘗ての姿を 打ち捨てて、
過去の総てを 葬り去って、両目を瞑って 行けたなら、
背負うた定めの 業より放たれ、
やがて 消え行く事が できるのだろか。
例え 望みはしなくとも、やがて朝陽が昇るよに、
遥かな天空、色を写した 夜は来る。
心 躍らす幸福な、歓喜の時を 過ごしても、
眼 瞑る凄惨な、戦の果てに 立ち尽くしても、
眠らぬものなど、この世に居ない。
月齢刻む 暦を宿し 産まれきた、
総てのものは すべからく、見えぬ支配に 身を委ね、
廻る星に 想いを馳せる。
眠りを忘れて しまえたら、希望など 持ちはしないのに。
眠りの度に 押し殺したはずの、 心が 眼を覚ますから、
眠りを終えた その時に、奇跡を待って、啼くのだろ。
腐りの痛みを 枕に変えて、うつつの眠りに ぼんやりと。
過ぎた事を 嘆いても、無為な事だと 知りながら、
手放せないのは 何故だろう。
産まれた姿に こだわり続け、役目を終えた 翼を抱え
この身に 壊死が移るのを、密かに待って いるのだろうか。
腐食が進んだ 片翼は、朽ちた色を 添えたまま、
欠けた骨が 顔を出す。
背に突き立つ 刃のように、たたんだままの 翼が揺れる。
声を無くした 慟哭が、風を呼んで 弄るだけ。
月よ 導け、行く先を。
月よ 命じよ、選択を。
月よ 片翼の意味を 宣れ。
月輪の都 『執念』
2004年9月5日流れる河の 激しさに、浮き立つ 足さえ止まる。
そびえる 断崖絶壁に、陽たる 心も萎えた。
船を求めた 渡しは廃墟、望みを絶たれた 帰路に惑う。
砂漠の幻影 枯渇の水場、余計に 喉を乾かせた。
地上に線など無いと、向かえば 鋼の針柵 項垂れた。
伸ばした指先、無常にも、扉は閉ざされ 重い音。
見えぬ恐怖を 待つのは ごめん。
危険を承知で 探りに 行くさ。
進まぬ事態で 焦らされるのは ごめん。
一か八かの勝負でも、転がす賽は 己で振るうもの。
制限時間があるとしたならば、
この命 尽きるとき。
この魂 消し飛ぶとき。
脚を絡めとる 処女雪に、心は急いても、歩は停まる。
獣道は落石に、覆われ崩れ、越せぬ山に、思案する。
流刑の島は小さくて、渦巻く海流、渡りを阻む。
絶たれた吊橋 漂う様に、吹き上げる突風 行方を遮る。
道しるべの途切れた荒野、野晒しの骸骨は 風に笑うのみ。
伸ばした指先、非情にも、刀で薙ぎ払われて、落ちてく身体。
見えぬ敵に 追われるのは ごめん。
木立ちに潜む 罠を探しに 行くさ。
炙り出されるくらいなら、夜襲をかけるまで。
出たとこ勝負なのは、裏打ちされた実践が、命の綱。
制限区域があるとしたならば、
この脚が 止まるとき。
この体が 朽ち果てる時。
難攻不落の試練を糧に、幾度だって 立ち上がる。
両の脚を 無くしても、両の腕を 千切られても、
両の瞳を 抉られても、両の耳を 潰されても、
両断された体を引きずり、内腑をぶちまけても、
そこで 終われぬ事 ならば、
幾度だって 立ち上がる。
たとえ 彷徨う 幽鬼に 墜ちてさえも なお。
そびえる 断崖絶壁に、陽たる 心も萎えた。
船を求めた 渡しは廃墟、望みを絶たれた 帰路に惑う。
砂漠の幻影 枯渇の水場、余計に 喉を乾かせた。
地上に線など無いと、向かえば 鋼の針柵 項垂れた。
伸ばした指先、無常にも、扉は閉ざされ 重い音。
見えぬ恐怖を 待つのは ごめん。
危険を承知で 探りに 行くさ。
進まぬ事態で 焦らされるのは ごめん。
一か八かの勝負でも、転がす賽は 己で振るうもの。
制限時間があるとしたならば、
この命 尽きるとき。
この魂 消し飛ぶとき。
脚を絡めとる 処女雪に、心は急いても、歩は停まる。
獣道は落石に、覆われ崩れ、越せぬ山に、思案する。
流刑の島は小さくて、渦巻く海流、渡りを阻む。
絶たれた吊橋 漂う様に、吹き上げる突風 行方を遮る。
道しるべの途切れた荒野、野晒しの骸骨は 風に笑うのみ。
伸ばした指先、非情にも、刀で薙ぎ払われて、落ちてく身体。
見えぬ敵に 追われるのは ごめん。
木立ちに潜む 罠を探しに 行くさ。
炙り出されるくらいなら、夜襲をかけるまで。
出たとこ勝負なのは、裏打ちされた実践が、命の綱。
制限区域があるとしたならば、
この脚が 止まるとき。
この体が 朽ち果てる時。
難攻不落の試練を糧に、幾度だって 立ち上がる。
両の脚を 無くしても、両の腕を 千切られても、
両の瞳を 抉られても、両の耳を 潰されても、
両断された体を引きずり、内腑をぶちまけても、
そこで 終われぬ事 ならば、
幾度だって 立ち上がる。
たとえ 彷徨う 幽鬼に 墜ちてさえも なお。
月輪の都 『婀娜の月』・あだのつき・
2004年9月1日悲しみを 謳うのならば、とうに涙 枯れてから。
微笑みを 浮かべるならば、強い面影 消してから。
別れを 予感するならば 、体が悲鳴をあげてから。
裏切りを 笑うのならば、水底深く 沈めてから。
夢想い 綴るのならば、夜が遠くに 更けてから。
肌の感触 なぞるのならば、言葉も呼吸も 止めてから。
構えた刃 降ろすのならば、 墓標の下に 埋めてから。
羽音 響かせ、鳥が行く。
背より輝く 婀娜の月が、鬼の心を 呼び起こす。
何処か遠くの 果ての国、狂った茜の 夕日が燃える。
地平に寄り添い 揺らめく色は、果ての月まで 染め上げて。
首筋 咥えて 谷底へ。
碇を 吊るして 海溝へ。
四肢を 戒め 禿山へ。
毒を 含んで 口づけを。
刃を 握って 抱擁を。
呪いと暗示を 潜ませて、耳元 微かに 囁きましょう。
血潮の通う ヒト だから、 鬼にも 邪にも なれましょう。
愛した事は 忘れても、憎しみばかりは 捨て去れぬ。
婀娜の月が 呼ぶ雨は、色を違えて 降るのだろ。
婀娜の月が 指す路は、法を違えて 在るのだろ。
婀娜の月が 登る夜は、心を違えて しまうだろ。
微笑みを 浮かべるならば、強い面影 消してから。
別れを 予感するならば 、体が悲鳴をあげてから。
裏切りを 笑うのならば、水底深く 沈めてから。
夢想い 綴るのならば、夜が遠くに 更けてから。
肌の感触 なぞるのならば、言葉も呼吸も 止めてから。
構えた刃 降ろすのならば、 墓標の下に 埋めてから。
羽音 響かせ、鳥が行く。
背より輝く 婀娜の月が、鬼の心を 呼び起こす。
何処か遠くの 果ての国、狂った茜の 夕日が燃える。
地平に寄り添い 揺らめく色は、果ての月まで 染め上げて。
首筋 咥えて 谷底へ。
碇を 吊るして 海溝へ。
四肢を 戒め 禿山へ。
毒を 含んで 口づけを。
刃を 握って 抱擁を。
呪いと暗示を 潜ませて、耳元 微かに 囁きましょう。
血潮の通う ヒト だから、 鬼にも 邪にも なれましょう。
愛した事は 忘れても、憎しみばかりは 捨て去れぬ。
婀娜の月が 呼ぶ雨は、色を違えて 降るのだろ。
婀娜の月が 指す路は、法を違えて 在るのだろ。
婀娜の月が 登る夜は、心を違えて しまうだろ。
月輪の都 『螺鈿の月』
2004年8月31日何故に 求め 願うのか。
何故に 彼の地へ 発ったか。
何故に 故郷は 夢朧。
貴方の姿を 追いかけて、地の果てまで きたけれど、
この手に抱いた 白い骨。
四脚を腕に 得たけれど、折れた爪は 大地を掴まず。
貴方の幻 心に描き、海の果てまで きたけれど、
この手に残る 黒い髪。
尾鰭を足に 得たけれど、毀れる鱗は 水を掴まず。
貴方の言葉 胸に抱き、空の果てまで きたけれど、
この手に触れた 紅い服。
翼を背中に 得たけれど、千切れた羽は 大気を掴まず。
歳費 浪々、螺鈿の月に 掛かる雲を 払うよう。
流転 徨々、砕け散る 岩もさだめか 降る砂に。
光矢 早々、想うは刹那 憶えも薄らぐ 郷愁の。
荒ぶ風に 任すまま、靡く髪が 路を指し、
溢れ伝う血の粒が、路を行く。
背を押し急ぐ 風の路。
行方は 誰も 知らぬ先。
螺鈿の月を 追いかけて、貴方の行方を 追いかけて、
万里を旅して 行くばかり。
何故に 彼の地へ 発ったか。
何故に 故郷は 夢朧。
貴方の姿を 追いかけて、地の果てまで きたけれど、
この手に抱いた 白い骨。
四脚を腕に 得たけれど、折れた爪は 大地を掴まず。
貴方の幻 心に描き、海の果てまで きたけれど、
この手に残る 黒い髪。
尾鰭を足に 得たけれど、毀れる鱗は 水を掴まず。
貴方の言葉 胸に抱き、空の果てまで きたけれど、
この手に触れた 紅い服。
翼を背中に 得たけれど、千切れた羽は 大気を掴まず。
歳費 浪々、螺鈿の月に 掛かる雲を 払うよう。
流転 徨々、砕け散る 岩もさだめか 降る砂に。
光矢 早々、想うは刹那 憶えも薄らぐ 郷愁の。
荒ぶ風に 任すまま、靡く髪が 路を指し、
溢れ伝う血の粒が、路を行く。
背を押し急ぐ 風の路。
行方は 誰も 知らぬ先。
螺鈿の月を 追いかけて、貴方の行方を 追いかけて、
万里を旅して 行くばかり。
月輪の都 『親と子』
2004年8月29日僕は 疑いもなく 待ち続けていた。
私は やって来るのだと 待ち続けていた。
たった一歩の距離で 向かい合わせに 微笑んで。
僕は 与えられるものだと 待っていた。
私は 提示されるものだと 待っていた。
互いの立場に 甘んじて。
僕は 子として 親に期待していた。
私は 親として 子を信じていた。
言葉にしなくても 解っているものだと 思い込んで。
僕は 安心感という 保険が 欲しかった。
私は 決意という 意思表示が 欲しかった。
互いに 口火を切るのを 我慢して。
僕は 遠まわしだけれど 幾度も 信号を出していた。
私は 真意が見えなくて 幾度も 密かに探っていた。
それで 気付いているはずだと、胡坐をかいて。
僕は 常に 遠慮しながら 甘受してきた。
私は 常に 気遣いながら 甘やかしてきた。
それを仮面といい、それを意思の尊重という。
僕は 区切りを 限度を 求めてた。
私は 決断した道と 信念を 求めてた。
今まで そうして 生きてきたのだけれど。
僕は 大人という響きに酔い、本質を考えた事など 無かった。
私は 成長という幻想を抱き、悩みを汲む事など 無かった。
心と体の成熟度は 比例など しはしないのに。
僕は 分別と気遣いが 世渡りの手段だと 勘違いしていた。
私は 持って生まれた 性分なのだと 勘違いしていた。
己を護る方法は 十人十色と 気付かずに。
僕は 精一杯の背伸びして、足が吊っても 笑ってた。
私は 精一杯の虚勢を張って、火の車でも 笑ってた。
根性論と 自力が 生きる糧だと 信じてきたから。
僕は 実利をもって孝行と、我が親への想いを 強めていた。
私は 見返りを求めての援助など、我が子に強いた 事はない。
究極的には 他人だから、情を絆に育てて きたのにね。
幾つになっても、親は親。子は子に過ぎぬ事。
甘えの意味を 誤解して、互いに責任を 押し付けあって、
僕は 私は 立ち尽くしたまま、相手の出方を 待っていた。
信頼の意味を 買いかぶって、真意を探りあいながらも、
僕は 私は 立ち尽くしたまま、分かり合えずにいた。
私は やって来るのだと 待ち続けていた。
たった一歩の距離で 向かい合わせに 微笑んで。
僕は 与えられるものだと 待っていた。
私は 提示されるものだと 待っていた。
互いの立場に 甘んじて。
僕は 子として 親に期待していた。
私は 親として 子を信じていた。
言葉にしなくても 解っているものだと 思い込んで。
僕は 安心感という 保険が 欲しかった。
私は 決意という 意思表示が 欲しかった。
互いに 口火を切るのを 我慢して。
僕は 遠まわしだけれど 幾度も 信号を出していた。
私は 真意が見えなくて 幾度も 密かに探っていた。
それで 気付いているはずだと、胡坐をかいて。
僕は 常に 遠慮しながら 甘受してきた。
私は 常に 気遣いながら 甘やかしてきた。
それを仮面といい、それを意思の尊重という。
僕は 区切りを 限度を 求めてた。
私は 決断した道と 信念を 求めてた。
今まで そうして 生きてきたのだけれど。
僕は 大人という響きに酔い、本質を考えた事など 無かった。
私は 成長という幻想を抱き、悩みを汲む事など 無かった。
心と体の成熟度は 比例など しはしないのに。
僕は 分別と気遣いが 世渡りの手段だと 勘違いしていた。
私は 持って生まれた 性分なのだと 勘違いしていた。
己を護る方法は 十人十色と 気付かずに。
僕は 精一杯の背伸びして、足が吊っても 笑ってた。
私は 精一杯の虚勢を張って、火の車でも 笑ってた。
根性論と 自力が 生きる糧だと 信じてきたから。
僕は 実利をもって孝行と、我が親への想いを 強めていた。
私は 見返りを求めての援助など、我が子に強いた 事はない。
究極的には 他人だから、情を絆に育てて きたのにね。
幾つになっても、親は親。子は子に過ぎぬ事。
甘えの意味を 誤解して、互いに責任を 押し付けあって、
僕は 私は 立ち尽くしたまま、相手の出方を 待っていた。
信頼の意味を 買いかぶって、真意を探りあいながらも、
僕は 私は 立ち尽くしたまま、分かり合えずにいた。
月輪の都 『描く人』
2004年8月28日緻密な筆で 重ねる色は、
僕の想いの 深さと同じ。
何度も 何度も、色を乗せ。
重ね 重ねて、少しでも。
僕が見た、明日以外の日々に 近しところまで、
今より以降に 創ろうと。
寝ぼけ眼で 見た夢を、
形にするのは難しく、
うろ覚えの光景を、描き起こすのも難しい。
咀嚼し 消化し 吸収し、
やがて 筆先から 零れ描いたものが、
僕の願う 形になって、
歪な形 奇妙な色 不可解な姿に なるけれど、
解ってくれる 人もいる。
同じものを 見ていても、
同じ感動 味わえぬ。
同じ体験 したとして、
同じ結論 出せはせぬ。
解っているのに 求めるあたり、
人の世は 悩みを捨て去る 事はない。
答えがないから 哲学が、
廃れて消えていないよに。
答えがないから 宗教が、
信心集めて 残るよに。
ただ ただ 人は、求めてる。
謎と 答えを 求めてる。
僕の筆が 描くもの。
君の筆が 描くもの。
溜息は 涙は 心情は、この目に映る 色となり、
喜びは 願いは 虚しさは、この目に還る 形となって。
惑い 悩み 錯綜し、この目に宿る 光となって。
答えは 救いと なりえるのか、それは 謎のままだけど。
僕の想いの 深さと同じ。
何度も 何度も、色を乗せ。
重ね 重ねて、少しでも。
僕が見た、明日以外の日々に 近しところまで、
今より以降に 創ろうと。
寝ぼけ眼で 見た夢を、
形にするのは難しく、
うろ覚えの光景を、描き起こすのも難しい。
咀嚼し 消化し 吸収し、
やがて 筆先から 零れ描いたものが、
僕の願う 形になって、
歪な形 奇妙な色 不可解な姿に なるけれど、
解ってくれる 人もいる。
同じものを 見ていても、
同じ感動 味わえぬ。
同じ体験 したとして、
同じ結論 出せはせぬ。
解っているのに 求めるあたり、
人の世は 悩みを捨て去る 事はない。
答えがないから 哲学が、
廃れて消えていないよに。
答えがないから 宗教が、
信心集めて 残るよに。
ただ ただ 人は、求めてる。
謎と 答えを 求めてる。
僕の筆が 描くもの。
君の筆が 描くもの。
溜息は 涙は 心情は、この目に映る 色となり、
喜びは 願いは 虚しさは、この目に還る 形となって。
惑い 悩み 錯綜し、この目に宿る 光となって。
答えは 救いと なりえるのか、それは 謎のままだけど。
月輪の都 『嘗て』
2004年8月27日遙か 人の世あらぬ 創世記、
世界は生命力に 溢れてた。
遥か 言葉を 持たぬ創世記、
世界は濃密な魂を 生んでいた。
今は黙した 植物達は 謳い、
今は滅した 生物達は 天空を翔け、
今は秘した 神々達は 姿 顕に踊ってた。
息吹とともに 生まれいでたる 神々は、
幾度も代を 替えながら、 この大地をば、
護り 慈しみ、寄り添い合って、共に時を 越えてきた。
人世が在らぬ時ならば、一夜は二夜、歩みは緩く、
時の観念など、体内時計に 従うまで。
ああ、けれど。
世代を越えて 受け継いだ、大地は今や 疲弊し始めてる。
刹那を刻む 人の群れ。
大地を刻み、大海を蝕み、大空を阻み、
駆け足過ぎた 人という生物が、
両の目に蓋をして、両の耳を塞ぎ、喉を潰して、
見て見ぬふりを、聞いて聞き流し、言葉を曲げて、
己の今だけのために、東奔西走。
滅びの坂を 転げ落ち、黄泉の神に 縋りつく。
己だけが 助かる路など あるものか。
己だけが 極楽路へと いくものか。
己が喰い尽くした 楽園を 夢に求める 勝手者。
己が弄んだ 神々に 詫びる事すら 忘れ去る。
滅びの路を わざわざに、高速道路に 造り替え、
人は哂うよ、己の為に。
狂い笑うよ、己の為だけに。
世界は生命力に 溢れてた。
遥か 言葉を 持たぬ創世記、
世界は濃密な魂を 生んでいた。
今は黙した 植物達は 謳い、
今は滅した 生物達は 天空を翔け、
今は秘した 神々達は 姿 顕に踊ってた。
息吹とともに 生まれいでたる 神々は、
幾度も代を 替えながら、 この大地をば、
護り 慈しみ、寄り添い合って、共に時を 越えてきた。
人世が在らぬ時ならば、一夜は二夜、歩みは緩く、
時の観念など、体内時計に 従うまで。
ああ、けれど。
世代を越えて 受け継いだ、大地は今や 疲弊し始めてる。
刹那を刻む 人の群れ。
大地を刻み、大海を蝕み、大空を阻み、
駆け足過ぎた 人という生物が、
両の目に蓋をして、両の耳を塞ぎ、喉を潰して、
見て見ぬふりを、聞いて聞き流し、言葉を曲げて、
己の今だけのために、東奔西走。
滅びの坂を 転げ落ち、黄泉の神に 縋りつく。
己だけが 助かる路など あるものか。
己だけが 極楽路へと いくものか。
己が喰い尽くした 楽園を 夢に求める 勝手者。
己が弄んだ 神々に 詫びる事すら 忘れ去る。
滅びの路を わざわざに、高速道路に 造り替え、
人は哂うよ、己の為に。
狂い笑うよ、己の為だけに。
月輪の都 『隻眼』
2004年8月24日生命は 滅する ものだから、
滅びの美学を、求めてやまぬ。
生き急ぐ事も、あるだろう。
死に急ぐ事も、あるだろう。
ああ、それも また 、よし。
しがみつく事も あるだろう。
潔くある時も あるだろう。
ああ、それも また、よし。
根強く 芽吹く時も あるだろう。
儚く 散りゆく時も あるだろう。
ああ、それも また、よし。
次代へと 種子を残して、行くもあり。
秘して 黙して、行くもあり。
万人が見据える方向を、
行くも背くも、それもよし。
ゆかねばならぬ 場所もなく、
けれど、やがて行き着く場所より、
逃れること 叶わぬならば、
ああ、それも また、よしと、
片目を瞑る 心あり。
滅びの美学を、求めてやまぬ。
生き急ぐ事も、あるだろう。
死に急ぐ事も、あるだろう。
ああ、それも また 、よし。
しがみつく事も あるだろう。
潔くある時も あるだろう。
ああ、それも また、よし。
根強く 芽吹く時も あるだろう。
儚く 散りゆく時も あるだろう。
ああ、それも また、よし。
次代へと 種子を残して、行くもあり。
秘して 黙して、行くもあり。
万人が見据える方向を、
行くも背くも、それもよし。
ゆかねばならぬ 場所もなく、
けれど、やがて行き着く場所より、
逃れること 叶わぬならば、
ああ、それも また、よしと、
片目を瞑る 心あり。
月輪の都 『はぐれ雲』
2004年8月23日綺麗と思う、心が欲しい。
素直に感動できる、心が欲しい。
喜怒哀楽に生きる、心が欲しい。
安らぎ 熟睡できる、心が欲しい。
心に描いた、夢から醒めた、大人が ぽつり。
有難うを、照れずに告げる、
御免なさいと、素直に謝り、
頂きますで、手を合わせ、
お休みなさいと、頭を下げる、
心が憶えた、夢から醒めた、大人が ぽつり。
溢れる涙を 隠しもせずに、
我慢を 忘れて、声上げて、
握った掌、叩きつけ、
思いの丈に 泣けたらいいと。
心を隠して、夢から醒めた、大人が ぽつり。
両手を広げて 待つ人の、
優しい胸に 飛び込んで、
総てのしがらみ 断ち切って、
あらゆる欲を 捨て去れたなら。
心が歪んだ、夢から醒めた、大人が ぽつり。
大人は 一歩先ばかり、考え過ぎて いるのかな。
大人は わざと裏ばかり、勘ぐり過ぎて いるのかな。
大人は 事の理由ばかり、こじつけ過ぎて いるのかな。
心の階層、夢から醒めた、大人が ぽつり。
素直に感動できる、心が欲しい。
喜怒哀楽に生きる、心が欲しい。
安らぎ 熟睡できる、心が欲しい。
心に描いた、夢から醒めた、大人が ぽつり。
有難うを、照れずに告げる、
御免なさいと、素直に謝り、
頂きますで、手を合わせ、
お休みなさいと、頭を下げる、
心が憶えた、夢から醒めた、大人が ぽつり。
溢れる涙を 隠しもせずに、
我慢を 忘れて、声上げて、
握った掌、叩きつけ、
思いの丈に 泣けたらいいと。
心を隠して、夢から醒めた、大人が ぽつり。
両手を広げて 待つ人の、
優しい胸に 飛び込んで、
総てのしがらみ 断ち切って、
あらゆる欲を 捨て去れたなら。
心が歪んだ、夢から醒めた、大人が ぽつり。
大人は 一歩先ばかり、考え過ぎて いるのかな。
大人は わざと裏ばかり、勘ぐり過ぎて いるのかな。
大人は 事の理由ばかり、こじつけ過ぎて いるのかな。
心の階層、夢から醒めた、大人が ぽつり。
月輪の都 『大人の階段』
2004年8月22日言葉 一つ 足りなくて、
君を不安に させたよね。
言葉 一つ 多すぎて 、
君を不快に させたよね。
言葉 一つ 飲み込んで
君を 不満に させたよね。
言葉 一つ 間違えて
君を不穏に させたよね。
本当の気持ちが 空回り。
その時 気付いて 謝れば、
ちゃんと 訂正 していれば、
君は 今でも 傍にいた?
後悔しても 遅いけど、
今になって わかる事、
その時 気付く 訳もない。
詫びる 言葉を 持たなくて、
下げる 頭を 持たなくて、
若気の至り 振りかざし、
プライドばかり 大きくて。
肩で切る風 今はなく、
肩で息を 切っている。
過信は 招くよ 暴走を。
自分の居場所を なくすまで。
色褪せた写真の中で 君は 今でも微笑んで、
僕の記憶の中で 君は 今でも微笑んで、
僕の間違い 諌めてる。
君を不安に させたよね。
言葉 一つ 多すぎて 、
君を不快に させたよね。
言葉 一つ 飲み込んで
君を 不満に させたよね。
言葉 一つ 間違えて
君を不穏に させたよね。
本当の気持ちが 空回り。
その時 気付いて 謝れば、
ちゃんと 訂正 していれば、
君は 今でも 傍にいた?
後悔しても 遅いけど、
今になって わかる事、
その時 気付く 訳もない。
詫びる 言葉を 持たなくて、
下げる 頭を 持たなくて、
若気の至り 振りかざし、
プライドばかり 大きくて。
肩で切る風 今はなく、
肩で息を 切っている。
過信は 招くよ 暴走を。
自分の居場所を なくすまで。
色褪せた写真の中で 君は 今でも微笑んで、
僕の記憶の中で 君は 今でも微笑んで、
僕の間違い 諌めてる。
月輪の都 『ジャック・アマノ』
2004年8月21日心に無い事 言えるほど、
上手に泳げる 腕が無く。
上手く かわして 乗り切れるほど、
機転を 利かせる 腕が無い。
溺れて 暴れる 気力はあるが、
沈んで 眠る 発想がない。
いつも どうにか したいけど、
いつも 何とかならんかと、
気を揉み 病んで 頭痛持ち。
ろくなこたぁ ないやぁね。
そんな口癖 ホントは嫌い。
諦められたら 楽だよね。
そんな慰め ホントは嫌い。
もっと気楽に 構えなよ。
そんな助言 ホントは嫌い。
理詰めも 屁理屈 わかってる。
素直じゃないのも わかってる。
お天気 気分屋 装って、
一瞬 お気楽気取っても、
自分じゃないから 往復ビンタ。
反動だけが倍返し。
どっと疲れて ばたんきゅうぅぅ。
咄嗟に 逃げた 曖昧さ。
後からボディブローが 利いてくる。
下手に 相づち 苦笑い。
借金よりも 苦痛な取り立て、キリキリ舞いさ。
ジャック・アマノは 自分が不思議。
ジャック・アマノは 自分に歯噛み。
ジャック・アマノは 自分を知らない。
僕も私も 二面性、隠して 騙して 誤魔化して。
私も僕も 天邪鬼、生きてく為には 仕方ない。
上手に泳げる 腕が無く。
上手く かわして 乗り切れるほど、
機転を 利かせる 腕が無い。
溺れて 暴れる 気力はあるが、
沈んで 眠る 発想がない。
いつも どうにか したいけど、
いつも 何とかならんかと、
気を揉み 病んで 頭痛持ち。
ろくなこたぁ ないやぁね。
そんな口癖 ホントは嫌い。
諦められたら 楽だよね。
そんな慰め ホントは嫌い。
もっと気楽に 構えなよ。
そんな助言 ホントは嫌い。
理詰めも 屁理屈 わかってる。
素直じゃないのも わかってる。
お天気 気分屋 装って、
一瞬 お気楽気取っても、
自分じゃないから 往復ビンタ。
反動だけが倍返し。
どっと疲れて ばたんきゅうぅぅ。
咄嗟に 逃げた 曖昧さ。
後からボディブローが 利いてくる。
下手に 相づち 苦笑い。
借金よりも 苦痛な取り立て、キリキリ舞いさ。
ジャック・アマノは 自分が不思議。
ジャック・アマノは 自分に歯噛み。
ジャック・アマノは 自分を知らない。
僕も私も 二面性、隠して 騙して 誤魔化して。
私も僕も 天邪鬼、生きてく為には 仕方ない。
月輪の都 『番犬』
2004年8月20日知らない人が 通っただけで、吠えさかる。
知らない場所に 連れてかれただけで、鳴き叫ぶ。
知らない音を 聞いただけで、狂乱する。
見えるものには 甘いけど、耳と鼻には厳しいからね。
遠雷なんて 恐怖の的さ。
臆病だから 吠えまくり、
大胆だから 噛みつくさ。
唸りながら 牙を剥き、
退りながら 尻尾を巻いて、
全身全力、足を地面に 突っ張って。
それでも 鎖の範疇でしか、
逃げ場所なんて ないからね。
首輪が首に くい込むさ。
今更 犬小屋もらっても、
馴染んだ箱が 一番さ。
高い高い 壁の向こうを 除く穴。
ここに 頭をつっこんで、
わんわん 吠えるが 仕事だもの。
上手い具合に 自転車が、丁度 日陰になるからね。
鼻先つけて 潜り込む。
尻尾ふりふり ご主人様。
朝夕 楽しい 散歩道。
知らない道には 行かないよ。
曲がる角は ここだけさ。
だってそうして きたんだもの。
だってそこしか 知らないんだもの。
知らない場所に 連れてかれただけで、鳴き叫ぶ。
知らない音を 聞いただけで、狂乱する。
見えるものには 甘いけど、耳と鼻には厳しいからね。
遠雷なんて 恐怖の的さ。
臆病だから 吠えまくり、
大胆だから 噛みつくさ。
唸りながら 牙を剥き、
退りながら 尻尾を巻いて、
全身全力、足を地面に 突っ張って。
それでも 鎖の範疇でしか、
逃げ場所なんて ないからね。
首輪が首に くい込むさ。
今更 犬小屋もらっても、
馴染んだ箱が 一番さ。
高い高い 壁の向こうを 除く穴。
ここに 頭をつっこんで、
わんわん 吠えるが 仕事だもの。
上手い具合に 自転車が、丁度 日陰になるからね。
鼻先つけて 潜り込む。
尻尾ふりふり ご主人様。
朝夕 楽しい 散歩道。
知らない道には 行かないよ。
曲がる角は ここだけさ。
だってそうして きたんだもの。
だってそこしか 知らないんだもの。
月輪の都 『おそれ』
2004年8月19日闇に浮かんだ 琥珀色。
仄かな 灯かりを その身に 浴びて。
大人びた風貌だのに、瞳に宿る心は 未だ幼く しどけなく。
やんわり肌を包んだ絹は、さらりさらりと 滑り落ち、
長い黒髪、尾を引いて、君を隠す 夜着となる。
戸惑う君を 引き寄せて、強張る体を 抱きしめて。
君は 私が 怖いかい?
頬を寄せて 耳を付けて、私の鼓動を 聴いてごらん。
瞳を閉じて 手を添えて、もう少し そのままでいて。
互いの掌が 馴染むまで、もう少し そのままでいて。
互いの肌が 馴染むまで。
さぁ ゆっくり 目を開けて、私の瞳を 観てごらん。
まだ 私が怖いかい?
怖くなければ 瞬き一つ、答えておくれ。
怖くなければ そのまま一つ、口付けて。
そっとそっと 重ねてごらん。
君の眠りを 誘うよに、そっと 君の額に 口づけて。
君の微笑み 誘うよに、そっと 君の頬に 両手を添えて
君の声を 誘うよに、そっと 君の名前を 呼んで。
私の首に 腕絡め、ゆっくり 胸を 合わせてごらん。
君の髪を すきながら、指先までに 君を感じ。
どこへも 離れて ゆかぬよに、僕の背中に 手を回し。
爪を 立てても かまわない。
君が唇 噛みしめるなら、僕の肩にも 口づけて。
喰んで 歯をたてても かまわない。
まだ 私が 怖いかい?
それとも 自分が 怖いかい?
私の腕の中で咲く、昨日と違う 自分が どこか 怖いかい?
何も 恐れることはない。
君が私に 私が君に、
重なり 熔けて、しまっただけ。
瞳を閉じて 感じてごらん。
私と君の 境目を。
仄かな 灯かりを その身に 浴びて。
大人びた風貌だのに、瞳に宿る心は 未だ幼く しどけなく。
やんわり肌を包んだ絹は、さらりさらりと 滑り落ち、
長い黒髪、尾を引いて、君を隠す 夜着となる。
戸惑う君を 引き寄せて、強張る体を 抱きしめて。
君は 私が 怖いかい?
頬を寄せて 耳を付けて、私の鼓動を 聴いてごらん。
瞳を閉じて 手を添えて、もう少し そのままでいて。
互いの掌が 馴染むまで、もう少し そのままでいて。
互いの肌が 馴染むまで。
さぁ ゆっくり 目を開けて、私の瞳を 観てごらん。
まだ 私が怖いかい?
怖くなければ 瞬き一つ、答えておくれ。
怖くなければ そのまま一つ、口付けて。
そっとそっと 重ねてごらん。
君の眠りを 誘うよに、そっと 君の額に 口づけて。
君の微笑み 誘うよに、そっと 君の頬に 両手を添えて
君の声を 誘うよに、そっと 君の名前を 呼んで。
私の首に 腕絡め、ゆっくり 胸を 合わせてごらん。
君の髪を すきながら、指先までに 君を感じ。
どこへも 離れて ゆかぬよに、僕の背中に 手を回し。
爪を 立てても かまわない。
君が唇 噛みしめるなら、僕の肩にも 口づけて。
喰んで 歯をたてても かまわない。
まだ 私が 怖いかい?
それとも 自分が 怖いかい?
私の腕の中で咲く、昨日と違う 自分が どこか 怖いかい?
何も 恐れることはない。
君が私に 私が君に、
重なり 熔けて、しまっただけ。
瞳を閉じて 感じてごらん。
私と君の 境目を。
月輪の都 『夕立の虹』
2004年8月18日夏も盛りを 過ぎた頃。
背中に受けた夕日の彩を、
うっすら帯びた 虹の色。
雷孕む 空にくっきり七色の、
袂も顕わに 描く半円。
時間にすれば どれくらい?
不機嫌抱えた 目の端で、
睨んだ曇天、偶の然。
呆気にとられて 足を止め、
惚けたように、眺めてた。
いつも見慣れた 風景に、
疲れて帰路に 着いた頃、
何かを想うことも無く、
ただただ 惰性の 行動に、
一つ 小石を 投げたよう。
子供の様に 追いかけた、虹の端は 帰る路。
震える心は 歓喜の声か、
はしゃいだ気持ちを 隠せずに、
ただただ 虹を 眺めてた。
背中に受けた夕日の彩を、
うっすら帯びた 虹の色。
雷孕む 空にくっきり七色の、
袂も顕わに 描く半円。
時間にすれば どれくらい?
不機嫌抱えた 目の端で、
睨んだ曇天、偶の然。
呆気にとられて 足を止め、
惚けたように、眺めてた。
いつも見慣れた 風景に、
疲れて帰路に 着いた頃、
何かを想うことも無く、
ただただ 惰性の 行動に、
一つ 小石を 投げたよう。
子供の様に 追いかけた、虹の端は 帰る路。
震える心は 歓喜の声か、
はしゃいだ気持ちを 隠せずに、
ただただ 虹を 眺めてた。
月輪の都 『覚醒の時』
2004年8月17日視えない糸を 手繰るよに、
見えない意図を 手繰るよに、
観えない縁が そこにある。
看えない因果が そこにある。
聞こえぬ声を その耳に。
聴こえぬ呻き その心に。
効こえぬ繕い この掌に。
救える薬が ないのなら、想いの手当するしかなくて。
巣くう病が 癒えぬなら、思いで手当するほかなし。
私の声が 聞こえるか?
私の祈りが 聴こえるか?
私の弔い 訊いているか?
問うても 答える呼応なく、探るこの手は 空を切る。
何を残して この世を去った?
何を想って この世を去った?
何を悔いて この世を去った?
何も残さず 逝くがいい。
何も想わず 逝くがいい。
何も悔いず 逝くがいい。
無くす事の 難しさ。
離す事の 難しさ。
滅す事の 難しさ。
けれど、それを為す為に、再び この世に 産まれ来たと したならば。
けれど、それを成就す為に、廻りて この世に 落ちたと したならば。
けれど、それを己で辿りつく為に、この世に 仿徨う運命と したならば。
行こう、往こう、逝こう。
逃れきれない 終焉の時へ。
見えない意図を 手繰るよに、
観えない縁が そこにある。
看えない因果が そこにある。
聞こえぬ声を その耳に。
聴こえぬ呻き その心に。
効こえぬ繕い この掌に。
救える薬が ないのなら、想いの手当するしかなくて。
巣くう病が 癒えぬなら、思いで手当するほかなし。
私の声が 聞こえるか?
私の祈りが 聴こえるか?
私の弔い 訊いているか?
問うても 答える呼応なく、探るこの手は 空を切る。
何を残して この世を去った?
何を想って この世を去った?
何を悔いて この世を去った?
何も残さず 逝くがいい。
何も想わず 逝くがいい。
何も悔いず 逝くがいい。
無くす事の 難しさ。
離す事の 難しさ。
滅す事の 難しさ。
けれど、それを為す為に、再び この世に 産まれ来たと したならば。
けれど、それを成就す為に、廻りて この世に 落ちたと したならば。
けれど、それを己で辿りつく為に、この世に 仿徨う運命と したならば。
行こう、往こう、逝こう。
逃れきれない 終焉の時へ。
月輪の都 『かちかち山』
2004年8月14日カチカチ カチカチ 何の音?
君を 悩ます 時間の音さ。
かちかち かちかち 何の音?
君の 言葉の 衝突音さ。
カチカチ カチカチ 何の音?
君が 苛立ち 覚える人との音さ。
かちかち かちかち 何の音?
君が 躓き よろける 音さ。
カチカチ カチカチ 何の音?
かちかち鳥が鳴いている。
火打ちの石を 両手に持って、綺羅の火花を 飛ばしてる。
かちかち かちかち 何の音?
君が 足元 見ぬからさ。
泥の船だと 気付かない。
カチカチ カチカチ 何の音?
火だるま狸が どざえもん。
それでも 本当に 気付かない。
かちかち かちかち 何の音?
不快な音は 警告の、危険音と 知らぬまま。
かちかち山の狸さん。
自分が撒いた 種の事。
自分が刈り取らねば ならぬ事。
沈んで気づく 狸さん。
君を 悩ます 時間の音さ。
かちかち かちかち 何の音?
君の 言葉の 衝突音さ。
カチカチ カチカチ 何の音?
君が 苛立ち 覚える人との音さ。
かちかち かちかち 何の音?
君が 躓き よろける 音さ。
カチカチ カチカチ 何の音?
かちかち鳥が鳴いている。
火打ちの石を 両手に持って、綺羅の火花を 飛ばしてる。
かちかち かちかち 何の音?
君が 足元 見ぬからさ。
泥の船だと 気付かない。
カチカチ カチカチ 何の音?
火だるま狸が どざえもん。
それでも 本当に 気付かない。
かちかち かちかち 何の音?
不快な音は 警告の、危険音と 知らぬまま。
かちかち山の狸さん。
自分が撒いた 種の事。
自分が刈り取らねば ならぬ事。
沈んで気づく 狸さん。
月輪の都 『一人旅』
2004年8月13日壊れてゆけと、頭の隅で、囁く何か。
捨ててしまえと、頭の隅で、囁く何か。
消してしまえと、頭の隅で、囁く何か。
よぎる想いを 打ち消して、
いやいや まだだと 首振って、
これが限界なんかじゃないと、
強がり 意地はり 食いしばり。
悲鳴を上げる声 聞かず。
軋む痛みを 感じぬように。
潰れる様を 見ぬ振りで。
今も 走り続けてる。
指を掛けたままの 手榴弾。
喉に突きたて続ける 鋼の刃。
踏んだままの 地雷の突起。
僕は 何時も 迷ってる。
道連れ 友引き 地獄まで、
それは エゴだと 解ってる。
僕は 何時も 迷ってる。
誰か いないか 探しても、
最期は 独りと 解ってる。
僕は 何時も 迷ってる。
寄り添い 共に助け合い、仲良く この手を 繋いでも、
独りになる事は 無いんだと。
捨ててしまえと、頭の隅で、囁く何か。
消してしまえと、頭の隅で、囁く何か。
よぎる想いを 打ち消して、
いやいや まだだと 首振って、
これが限界なんかじゃないと、
強がり 意地はり 食いしばり。
悲鳴を上げる声 聞かず。
軋む痛みを 感じぬように。
潰れる様を 見ぬ振りで。
今も 走り続けてる。
指を掛けたままの 手榴弾。
喉に突きたて続ける 鋼の刃。
踏んだままの 地雷の突起。
僕は 何時も 迷ってる。
道連れ 友引き 地獄まで、
それは エゴだと 解ってる。
僕は 何時も 迷ってる。
誰か いないか 探しても、
最期は 独りと 解ってる。
僕は 何時も 迷ってる。
寄り添い 共に助け合い、仲良く この手を 繋いでも、
独りになる事は 無いんだと。
月輪の都 『戻らぬ子』
2004年8月10日返しておくれ。
帰しておくれ。
還しておくれ。
私の 可愛い 可愛い子。
行ってきますと、何時ものように、
送り出したのは 今しがた。
気をつけなさいと、何気なく
口にするのに 深い意味など 有るものか。
泣いて 縋れるものならば、閻魔様にも 頼みましょう。
売って 戻してくれるなら、悪魔も神も同じもの。
どうぞ、お返しくださいな。
どうぞ、生き返らせて くださいな。
どうぞ、時間を戻して くださいな。
あの子が 出ていく 一歩前。
扉の前に 立つときに、追い縄 かけても 行かせない。
誰が そんな 結末を、想像だに するものか。
むざと 死なせる為になど、産んで育てるわけがない。
希望の 未来を 生んだのに。
どうぞ おかえし くださいな。
私の可愛い 可愛い子。
帰しておくれ。
還しておくれ。
私の 可愛い 可愛い子。
行ってきますと、何時ものように、
送り出したのは 今しがた。
気をつけなさいと、何気なく
口にするのに 深い意味など 有るものか。
泣いて 縋れるものならば、閻魔様にも 頼みましょう。
売って 戻してくれるなら、悪魔も神も同じもの。
どうぞ、お返しくださいな。
どうぞ、生き返らせて くださいな。
どうぞ、時間を戻して くださいな。
あの子が 出ていく 一歩前。
扉の前に 立つときに、追い縄 かけても 行かせない。
誰が そんな 結末を、想像だに するものか。
むざと 死なせる為になど、産んで育てるわけがない。
希望の 未来を 生んだのに。
どうぞ おかえし くださいな。
私の可愛い 可愛い子。
月輪の都 『絶句』
2004年8月9日僕は 言葉を 飲み込んだ。
二の句を探す 暇もなく。
僕を 襲った 衝撃は、思いもよらず突然すぎて。
僕は 言葉を 飲み込んだ。
反射を 忘れた この腕を、伸ばす瞬間さえ そこにはなくて。
ねぇ 今 僕は 君と話をしてたんだよね?
ねぇ 今 僕は 君に笑いかけていたんだよね?
君の名前を 呼ぶこともできず、
君の体を 掴む事もできず、
当然 君を 助けることもできなかった。
命を繋ぎ止めている、摂理がとても 恨めしい。
僕に 翼が あったなら、君を 救えて いたろうか。
君に 翼が あったなら、僕は 悔いずに すんだろうか。
君の姿が かき消えた。
ただ その瞬間だけが くり返す。
裂けた 大地に 飲み込まれ、
小さくなってく 君だけを、僕の視線が 追いかけて、
白く 光った 光景だけを、
僕は 幾度も 繰り返す。
過ぎてしまった日の事を
起こってしまった出来事を
歪める事しか 手段はなくて。
自問自答で 煮詰める果ては、忘却の彼方か 追憶の日々か。
自慰の言葉に 埋め尽くされて、
僕は 一歩も 歩けない。
僕の眼を 両手で覆い、
僕の耳を 遠くして、
僕の口を 閉じてしまえば、
君だけを 想い続ける 僕が残る。
君だけを 見ていた 僕が残る。
誰も知らない、君が 大地の裂け目に 消えた事。
誰も知らない、君を 救えなかった 僕の事。
誰も知らない、絶句の先を。
二の句を探す 暇もなく。
僕を 襲った 衝撃は、思いもよらず突然すぎて。
僕は 言葉を 飲み込んだ。
反射を 忘れた この腕を、伸ばす瞬間さえ そこにはなくて。
ねぇ 今 僕は 君と話をしてたんだよね?
ねぇ 今 僕は 君に笑いかけていたんだよね?
君の名前を 呼ぶこともできず、
君の体を 掴む事もできず、
当然 君を 助けることもできなかった。
命を繋ぎ止めている、摂理がとても 恨めしい。
僕に 翼が あったなら、君を 救えて いたろうか。
君に 翼が あったなら、僕は 悔いずに すんだろうか。
君の姿が かき消えた。
ただ その瞬間だけが くり返す。
裂けた 大地に 飲み込まれ、
小さくなってく 君だけを、僕の視線が 追いかけて、
白く 光った 光景だけを、
僕は 幾度も 繰り返す。
過ぎてしまった日の事を
起こってしまった出来事を
歪める事しか 手段はなくて。
自問自答で 煮詰める果ては、忘却の彼方か 追憶の日々か。
自慰の言葉に 埋め尽くされて、
僕は 一歩も 歩けない。
僕の眼を 両手で覆い、
僕の耳を 遠くして、
僕の口を 閉じてしまえば、
君だけを 想い続ける 僕が残る。
君だけを 見ていた 僕が残る。
誰も知らない、君が 大地の裂け目に 消えた事。
誰も知らない、君を 救えなかった 僕の事。
誰も知らない、絶句の先を。
月輪の都 『先達』
2004年8月8日五月雨の 甘く けだるい 昼下がり。
遠雷は前触れ、大粒の通り雨。
ちぎれてゆく、砕けてゆく、壊れてゆく。
さらさら積もる 粉雪のように、
随分と 小さくなって しまったものだね。
あなたの愛に 感謝する。
あなたの期待に 添いたいと。
あなたの愛に 懐古する。
あなたの言葉に 酔いたいと。
あなたの愛に 懺悔する。
あなたの苦言に 背いた事を。
人は 愚かなものだと 今 想う。
あなたを 偲び 捜すたび。
人は 儚いものだと 今 思う。
あなたを 記憶に 探すたび。
私の中に あなたが 残した足跡は、
私の中で 芽を吹いて、
私の中を ゆるりと 変える。
あなたの愛に 頭を垂れて、
あなたの愛に すがりつき、
赤子のように 泣きたいけれど。
あなたの愛が 途切れぬように、
あなたの愛が 続くよに、
私は あなたの 言葉を借りて、
私は あなたの 信念 真似て、
私は あなたの 跡を行く。
遠雷は前触れ、大粒の通り雨。
ちぎれてゆく、砕けてゆく、壊れてゆく。
さらさら積もる 粉雪のように、
随分と 小さくなって しまったものだね。
あなたの愛に 感謝する。
あなたの期待に 添いたいと。
あなたの愛に 懐古する。
あなたの言葉に 酔いたいと。
あなたの愛に 懺悔する。
あなたの苦言に 背いた事を。
人は 愚かなものだと 今 想う。
あなたを 偲び 捜すたび。
人は 儚いものだと 今 思う。
あなたを 記憶に 探すたび。
私の中に あなたが 残した足跡は、
私の中で 芽を吹いて、
私の中を ゆるりと 変える。
あなたの愛に 頭を垂れて、
あなたの愛に すがりつき、
赤子のように 泣きたいけれど。
あなたの愛が 途切れぬように、
あなたの愛が 続くよに、
私は あなたの 言葉を借りて、
私は あなたの 信念 真似て、
私は あなたの 跡を行く。