月輪の都 『深度』

2005年6月21日
浅い恋に、二人して、はしゃいで 飛び込み 見上げたら、
微細な気泡は ゆらゆらと、天上目指して 昇り行く。
陽の光が 射す道を、甘い吐息の道標。
色鮮やかな 住人が、夢見心地に 時 奏で、
何時何時までも、浸りたし。

深い愛に、沈んでゆけば、繋いだ其の手を 離さぬように。
二人の身体は 姿を変えて、二人の瞳は 閉ざされて、
時も流れも 止めた様に、明けない夜が、続くから。

恋と愛の硲に 横たわる、揺らぐ情に 留まれば、
迷い、戸惑い、竦んで、溺れ。
囚われ 籠められ 穿たれる。
黄昏海に、朝も夜も 廻る事なぞ無くて、

浮上の恋海、朝の色。
潜水の愛海、夜の色。
佇み 彷徨う 情海は、人魚の国と、思し召め。

見上げる 頭上は、恋の深度。
見下ろす 足下は、愛の深度。
今在る 此処は、情の深度。
 
深い愛に、行くべきか。
浅い恋に、帰ろうか。
それとも、揺らぐ情に、流されようか。
恋魚に冷めて、愛魚に躊躇い、人魚のままで、捜してる。

此処で 逸れた、嘗ての誰か。
もう、顔も名前も 思い出せないのだけれど、
確か、一緒に 飛び込んだ 筈だったのにね。

私は 誰を 捜してる?
同じ人魚を 捜してる。
この境界線で、総てを 見失って しまったから。

コメント

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

まだテーマがありません

最新のコメント

日記内を検索