月輪の都 『棘』

2005年4月18日
流れる雲の 行方を追って、遠く 彼方に 視線を馳せる。
遮るものさえ 無い空と、人は語って、夢を紡ぐのだけれど。

あてどなく、よるべなく、彷徨う様(さま)は、
空虚な 朧に 思えてならぬ。

安堵を 覚えぬは、己が 揺らぐ心が 故か、
人との距離を 置くは、己が 心の弱き 故か、
年月(としつき)重ねる 度に、
小さく蹲(うずくま)り込んで、しまったように、
思えてならぬ。
恐れを 抱くのは 何故なのか。
傷つく事を 避けるのは 何故なのか。
 
何時から こうして、立ち止まってしまったのか、
辛いけれど、思い返さねば ならぬのだろか。
苦しいけれど、掘り返さねば ならぬのだろか。
上手に目隠し、出来なくなった 今だから。

自身を穿つ 杭の端、風に晒され、朽ち始め、
容易に 抜き去る術を 赦さぬように。 
永きに、黙認していた 事を、咎めるように。、
小さすぎて、見えなかった訳でなく、
小さい事だと、言い聞かせた、愚かな行為の代償か。

期限は、とうに、過ぎていた。
患部は、病変を、告げていた。
今、この時に、肉を抉って、杭を 取り出すか、
先、何時かに、日延べして、腐り落ちて 落としてしまうか、
前、戻らぬ時に、心だけを 飛ばして、嘆き 暮らすか。

色を憶えぬ その空を、仰ぎ仰ぎて、鐘の音を 聴く。
梵鐘謳う、深夜の音か、
晩鐘謳う、烏の音か、
警鐘謳う、事変の音か。

色を定めぬ 漂う雲の、観えても掴めぬ、憂いを 訊く。
雷雲昇る、真昼の転か、
茜雲昇る、夕暮れの終か、
銀雲昇る、氷柱の起か。

時は今、時は先、時は前。
心は今、心は先、心は前。
無かった事には、出来ぬのが故に、見定めよ。

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