月輪の都 『崖淵』

2005年4月12日
私の罪は、海より深く、私の穢れは、山より高く。
私の罪は、大地よりも 重いもの。
私の掌は 血よりも紅く、私の髪は、闇より暗い。

涙を抑える 掌など、持ち合わせていない。
悲嘆を叫ぶ 声など、持ち合わせていない。

この掌は 鋭い剣を 握り、
この声は 限りに、憎悪の呪いを 吐くだろう。
複雑に絡んだ、心の意図を、解す前に、断ち切ろう。

このまま そっと、奥底で、息を潜めて くれるなら、
想いを堅く 閉じ込めて、氷の笑みを 浮かべよう。

血沸き 肉踊る 感覚に、麻痺して 暫し、舞い踊ろう。
千切れた手足を 引きずって、狂ったように 哂いましょう。

心を 一つ、殺すには、燃やし尽くす 残酷さ。
心を 一つ、殺すには、己が手足を 喰い千切る、
狂った想いが必要と。
吾が子でさえも 喰い殺す、羅刹の所業の、冷徹さ。

別れは 淡白な方が いい。
余計な 時を、かけぬが いい。

演じ切るなら、最後まで、舞台を 終える その瞬間まで、
己が言霊で、己 自身を、騙す為。

振り返らずに、行くが いい。
立ち止まらずに、行くが いい。
些細な 異変も、悟られぬように。

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