月輪の都 『西日』

2004年12月12日
天命 告げる、鳥が泣く。
咲かずの花も、際に咲く。

海底よりの使者 浜に上りて 黙して逝く。
天上よりの使者 雲を破りて 堕ちて逝く。

実りを忘れた 黄金(こがね)の穂。
住処を後に 発つ獣、眠れぬ夜に 追われるように。

冷たい夏に 陽は翳り、暖かい冬に 氷は貼らず、
芽吹かぬ春は 滞り、暮れぬ秋は 飢える。

震える大気は 異変の矛先。
大地を攫い 喰らう波は 警告。
止まぬ雨が 滴り落ちて、逆巻き 薙く風、矢次早。

肌で感じる 腐臭の島を、泪を忘れた 乾いた人間(ひと)が、
律を失い 唄わぬ空を、心を閉ざした 虚ろな人間(ひと)が、
その手で 創り、その手で 壊し、その手で 掴む。
やがて、その指先が、闇色に染まり、固まり、崩れるまで。

立ち止まれない 恐怖がそこに、漠然と。
振り返れない 理由がそこに、曖昧に。
直視できない 言い訳がそこに、茫然と。

  

コメント

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

まだテーマがありません

最新のコメント

日記内を検索