稜線 描く 光の帯が、刻々浮かび 宵は終焉。 
今朝に産まれる 喜びを、今朝に羽ばたく 誇りを抱いて、
風を掴んで 空に 舞う。
夜の名残は 朝露に、陽光差せば、姿を変えて、
もと来た道を 昇り行く。
眠りの間に 溜めた気を、一斉 散じて 解き放ち、
昼に生きる 者達を、揺り起こしては ざわめく木々。
夢の終わりを 惜しむよに、眩しい光に 目を細め、
小さく 身震い、大きく 呼吸、
季節を 彩り、萌えては 散りゆく 運命(さだめ)を映す。 

雲居の三日月、金の匙。
夜の趣 そろそろり、足音 失くして 忍び寄り。
暝(くら)き国の 民人が、銀の瞳を 輝かせ、
宴の狩へと 身を起こす。
落ち葉を 踏む音、かさかさり。
森の番人 低い唄、空へと向かう 影一つ。
億の光は ささやかに、万の光年 願う夜。
千の魂 還る日は、十の星が 流れて去った。
永き時を 渡る瀬に、長き吐息を 乗せる雲。
声を聴かば 獣の遠吠え、月へと 呑まれ、
気配を訊かば 形無きもの 顔を出し、
恐れを呼びて 虞を産むは、自滅を誘う 闇の蠢き。

誰かに 惑わされた 事でなく。
誰かに 酔わされた 訳でなく。
己の闇に 喰われた ばかり。
鳴動せざる 山祗は、ただただ 其処に 座るだけ。
生死惑道 山祗は、一片の 曇り無き 鏡の如く 在るばかり。

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