月輪の都 『共鳴』

2004年11月7日
激情 駆られた 逃避行。
熱に魘され 墜ちて行く。
初めて 触れた 瞬間に、焔が突然 燃え盛り。

怯えた表情(かお)で カタカタと、幾度も 君は 振り返り。
それでも 反す瞳は キラキラと、生きた眼差し 向けていた。
肩寄せあって、握った掌、白む指。
月夜の木々は ざわざわと、長い影を 触手の様に、
走る道に 伸びていた。

小さく 切り取られた 世界の中で、
僕は どんな風に 映ったのだろう。
きっと それは 愛でなく。
きっと それは 恋でなく。
きっと それは 情けではなく。
僕が そうでは ないように。

動物園で 晒された、物珍しい 獣のように、
温室栽培の 貴種の 華のよに、
連れて 手折って 奪い去り、逃げて隠して しまいたいだけ。

二人 連れ沿い、何時々々までも。
そんな 言葉が 浮かぶはずも 無い想い。
僕は 略奪の欲望に 沿い、
君は 冒険の誘惑に 沿い。

旅券を持たない 僕たちが、
辿り着けた 地の果ては、過酷なまでに 何もなく。
追っ手もなければ、助けの手も、ありは しなかった。

そうして 漸く 僕たちは、
繋いだ この手の 意味を知る。
二人 思惑 違うけど、上げた悲鳴が 重なり響き、
海が境の 国の端、踏み出す一歩も 無い場所に、
流れ流れて 立ち尽くす。

滾る夕日が 堕ちた先、遮るもの無く 降る星火。
突き刺す 朝日が 昇ったら、
二人 静かに 言葉を 交わそう。
何を 告げるか 知らないけれど。

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