月輪の都 『実無花』
2004年10月3日どんなに 綺麗に 咲いたとしても、実を結ばぬ 花だから。
どれだけ 寡黙に 耐え忍んでも、未だ結ばぬ 花だから。
花と産まれた筈だけど、それは見かけに 過ぎなくて。
花と産まれる以前には、命と産まれた 筈なのに。
風雪越えて 咲く花の、孤独は誰も 知らぬまま。
氷の飛礫に 身を晒し、来ない春を 待ち望む。
ふくら雀が 宿り木に、枝葉に羽を 休めても、
私を啄ばみ、喰いはせず。
ささやかながらも 命を営み、凛と花弁を 伸ばしても、
継いで残せぬ この身を嘆く。
決して 馴染まぬ 銀色の、冷たい道具が 突き刺さる。
細い 細い 硝子の管が、私の一部を 切り取って、
冬より冷たい 箱の中。
実を結ばぬ 空洞は、涙ばかりを 流して終わる。
色を持たない 涙など、とうに 枯れてしまったけれど、
血色の悲しみ、果てはせぬ。
この世に 残して逝き去る 哀しみあれば、
この世に 残せず生きゆく 苦しみあると、
この世の 人は幾人が 陶器の花を知るだろか。
深い深い 花弁の色は、私が 抱えた 血の涙。
堅く鋭い 茨の棘は、私が 纏った 心の鎧。
諦めきれない一線が、時間ばかりに 追われて迫る。
私を 花と 見る前に、私を 命と 見て欲しい。
どれだけ 寡黙に 耐え忍んでも、未だ結ばぬ 花だから。
花と産まれた筈だけど、それは見かけに 過ぎなくて。
花と産まれる以前には、命と産まれた 筈なのに。
風雪越えて 咲く花の、孤独は誰も 知らぬまま。
氷の飛礫に 身を晒し、来ない春を 待ち望む。
ふくら雀が 宿り木に、枝葉に羽を 休めても、
私を啄ばみ、喰いはせず。
ささやかながらも 命を営み、凛と花弁を 伸ばしても、
継いで残せぬ この身を嘆く。
決して 馴染まぬ 銀色の、冷たい道具が 突き刺さる。
細い 細い 硝子の管が、私の一部を 切り取って、
冬より冷たい 箱の中。
実を結ばぬ 空洞は、涙ばかりを 流して終わる。
色を持たない 涙など、とうに 枯れてしまったけれど、
血色の悲しみ、果てはせぬ。
この世に 残して逝き去る 哀しみあれば、
この世に 残せず生きゆく 苦しみあると、
この世の 人は幾人が 陶器の花を知るだろか。
深い深い 花弁の色は、私が 抱えた 血の涙。
堅く鋭い 茨の棘は、私が 纏った 心の鎧。
諦めきれない一線が、時間ばかりに 追われて迫る。
私を 花と 見る前に、私を 命と 見て欲しい。
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