月輪の都 『海渡の月』・ウラシマ タロウ・
2004年9月19日天空 切り立つ 山を越え、道を残さぬ 密林を抜け、
阻む大河を 渡り来て、眼下に望む大地の果てに、
ようやく 立てた海渡の時。
沈む夕日に 両手を挙げて、迫る時を いざ呼ばん。
満ちたる月夜 凪の海。
遥か深海 龍の宮、路よ開けと 焔を掲げ、
珊瑚の鳥居は 異界の扉、
此処へ 路よ繋がれと、喉を裂いて 祈り呼ぶ。
海鳴り呼んで 風が来る。
幾百の時を 閉じ込めた、海底よりの 使者が来る。
玉手の箱を 携えて、質の御霊 昇り来る。
虚ろの体を 引きずって、千里 万里を 彷徨い続け、
空と地上が交わる地、遥かな頂き聖山に、
浄化を終えた 穢れを捨てに 行ってきた。
此処で 私の旅も終焉、役目を終えて、
ようやく没する 時を得る。
地上の民人たちは皆、大海原に祈りを捧げ、
清めの神に 穢れを託し、
祓いを 終えたと、安堵する。
知らず知らずの 積み重ね、
犠牲の上に 成り立つ生を、
想いも反さず、眼を瞑る。
ふつりふつりと 怒りが 産まれ、
凝りて固まる 恨みが 膨れ、
拭い去れない 念となり。
人は穢れを 消し去れぬ。
それは 人で 在るが為。
呪いを 恨みを 災いを、その心の闇で、産むが為。
私が逝った 竜宮は、遥かな海底、果ての国。
私が触れた 海亀は、人が流した 穢れの塊。
私が逢った 乙姫は、哀れな姿で 浄めを続け。
私が背負った 宿命は、人が還せる 最期の恩義。
恨み終い給え、と 私は 名乗り、継がれるだろう。
阻む大河を 渡り来て、眼下に望む大地の果てに、
ようやく 立てた海渡の時。
沈む夕日に 両手を挙げて、迫る時を いざ呼ばん。
満ちたる月夜 凪の海。
遥か深海 龍の宮、路よ開けと 焔を掲げ、
珊瑚の鳥居は 異界の扉、
此処へ 路よ繋がれと、喉を裂いて 祈り呼ぶ。
海鳴り呼んで 風が来る。
幾百の時を 閉じ込めた、海底よりの 使者が来る。
玉手の箱を 携えて、質の御霊 昇り来る。
虚ろの体を 引きずって、千里 万里を 彷徨い続け、
空と地上が交わる地、遥かな頂き聖山に、
浄化を終えた 穢れを捨てに 行ってきた。
此処で 私の旅も終焉、役目を終えて、
ようやく没する 時を得る。
地上の民人たちは皆、大海原に祈りを捧げ、
清めの神に 穢れを託し、
祓いを 終えたと、安堵する。
知らず知らずの 積み重ね、
犠牲の上に 成り立つ生を、
想いも反さず、眼を瞑る。
ふつりふつりと 怒りが 産まれ、
凝りて固まる 恨みが 膨れ、
拭い去れない 念となり。
人は穢れを 消し去れぬ。
それは 人で 在るが為。
呪いを 恨みを 災いを、その心の闇で、産むが為。
私が逝った 竜宮は、遥かな海底、果ての国。
私が触れた 海亀は、人が流した 穢れの塊。
私が逢った 乙姫は、哀れな姿で 浄めを続け。
私が背負った 宿命は、人が還せる 最期の恩義。
恨み終い給え、と 私は 名乗り、継がれるだろう。
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