月輪の都 『風連』

2004年9月20日
雨を呼ぶ 風が吹く。
湿気を含んだ 大気の中に、冷気を孕んだ 一迅の風。
此処へ 雨を 運ぶ先触れ、汗ばむ頬を 掠めて通り過ぎ。
それは そぼ降る ささめの雨か。
それは 総てを打ちのめす 飛礫の雨か。
今は 知りようも ないけれど。

津波を呼ぶ 風が吹く。
粘度を孕む 纏わりつくよな、潮の香りを 含んだ浜風。
此処へ 津波を 呼ぶように、彼方の海より 陸へと昇る。
それは 寄せては返す 静かな波か。
それは 総てを 飲み込む 悪食の波か。
今は 知りようも ないけれど。

雪崩を呼ぶ 風が吹く。
凍気を含む 切り裂くような、視界を遮る 吹雪を連れて。
此処へ 雪崩を 呼ぶように、一瞬 無音に 静まり返る。
それは 安堵をもたらす 終焉の合図となるか。
それは 大地を揺るがす 唸りの地鳴りとなるか。
今は 知りようも ないけれど。

僕は 私は、何を待つ。
僕に 私に、向かう風。
僕を 私を、起点に起これ、竜巻よ。
僕と 私と、連れ立ち 往こう。
僕が 私が、指差す先に、流れて走れ、疾風よ。

時の流れと 同じよに、色も形も 見せぬまま、
僕の 私の、肌のみぞ知る。

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