月輪の都 『矛先』

2004年9月17日
しゃらり しゅらり 命を込めて、
しゃりり しゅりり 光を反す。
波乱の形を 浮かべて沈む、刃は言葉を遮って、
揺らめく焔を 映して消える、
鈍い眼の光を 追って、移して消える。
劫火の中より 生まれでて、火花を敵に 鍛えられ、
氷の中で 唸り声。

私を置いて 旅立つ子。
心配無用と 肩越しに、たった一度 振り返り、
微笑む若武者 霞む視界に 凛と立ち。
形見の刀を 携えて、無傷の鎧 豪々しくも、
初陣の証、間違う事なきや。

ああ、けれど。
ああ、されど。

諸刃の刃の 意味を知れ。
知りて 刃を 向けてみよ。
覚悟が そこに 有るのなら。
護る為でも 奪う為でも 結果は同じ。
刃を握り 構えるならば、同じ罪を 背負うこと。

大義名分 繕うたとて、殺める業は 消し去れぬ。
自己を犠牲にせよ、とは 云わぬ。
けれど、他人を犠牲にせよ、とも云わぬ。

どちらも盾で、どちらも矛。
常に 鏡と覚えて、おゆき。
鞘から抜かれた 刃は今、己に還って 引き裂く痛み。
白光 反す その刃、深く己に 突き立つと。

しゃらり しゅらり 命を込めて、
しゃりり しゅりり 光を反す。

コメント

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

まだテーマがありません

最新のコメント

日記内を検索