流れる河の 激しさに、浮き立つ 足さえ止まる。
そびえる 断崖絶壁に、陽たる 心も萎えた。
船を求めた 渡しは廃墟、望みを絶たれた 帰路に惑う。
砂漠の幻影 枯渇の水場、余計に 喉を乾かせた。
地上に線など無いと、向かえば 鋼の針柵 項垂れた。
伸ばした指先、無常にも、扉は閉ざされ 重い音。

見えぬ恐怖を 待つのは ごめん。
危険を承知で 探りに 行くさ。
進まぬ事態で 焦らされるのは ごめん。
一か八かの勝負でも、転がす賽は 己で振るうもの。

制限時間があるとしたならば、
この命 尽きるとき。
この魂 消し飛ぶとき。

脚を絡めとる 処女雪に、心は急いても、歩は停まる。
獣道は落石に、覆われ崩れ、越せぬ山に、思案する。
流刑の島は小さくて、渦巻く海流、渡りを阻む。
絶たれた吊橋 漂う様に、吹き上げる突風 行方を遮る。
道しるべの途切れた荒野、野晒しの骸骨は 風に笑うのみ。
伸ばした指先、非情にも、刀で薙ぎ払われて、落ちてく身体。

見えぬ敵に 追われるのは ごめん。
木立ちに潜む 罠を探しに 行くさ。
炙り出されるくらいなら、夜襲をかけるまで。
出たとこ勝負なのは、裏打ちされた実践が、命の綱。

制限区域があるとしたならば、
この脚が 止まるとき。
この体が 朽ち果てる時。

難攻不落の試練を糧に、幾度だって 立ち上がる。
両の脚を 無くしても、両の腕を 千切られても、
両の瞳を 抉られても、両の耳を 潰されても、
両断された体を引きずり、内腑をぶちまけても、
そこで 終われぬ事 ならば、
幾度だって 立ち上がる。

たとえ 彷徨う 幽鬼に 墜ちてさえも なお。

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