月輪の都 『嘗て』

2004年8月27日
遙か 人の世あらぬ 創世記、
世界は生命力に 溢れてた。

遥か 言葉を 持たぬ創世記、
世界は濃密な魂を 生んでいた。

今は黙した 植物達は 謳い、
今は滅した 生物達は 天空を翔け、
今は秘した 神々達は 姿 顕に踊ってた。

息吹とともに 生まれいでたる 神々は、
幾度も代を 替えながら、 この大地をば、
護り 慈しみ、寄り添い合って、共に時を 越えてきた。

人世が在らぬ時ならば、一夜は二夜、歩みは緩く、
時の観念など、体内時計に 従うまで。
ああ、けれど。
世代を越えて 受け継いだ、大地は今や 疲弊し始めてる。
刹那を刻む 人の群れ。
大地を刻み、大海を蝕み、大空を阻み、
駆け足過ぎた 人という生物が、
両の目に蓋をして、両の耳を塞ぎ、喉を潰して、
見て見ぬふりを、聞いて聞き流し、言葉を曲げて、
己の今だけのために、東奔西走。

滅びの坂を 転げ落ち、黄泉の神に 縋りつく。
己だけが 助かる路など あるものか。
己だけが 極楽路へと いくものか。
己が喰い尽くした 楽園を 夢に求める 勝手者。
己が弄んだ 神々に 詫びる事すら 忘れ去る。

滅びの路を わざわざに、高速道路に 造り替え、
人は哂うよ、己の為に。
狂い笑うよ、己の為だけに。

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