こんな そぼ降る 雨の夜は、
きっと 君は 其処にいる。
やたらと 白い ガードレールに 座る影、
オブジェのように 固まる君は、
傘もささずに、車道を 見てる。
時折 通る、車が撥ねた 水飛沫。
それでも、身じろぐ事 無く、其処に いる。
時計の代わりに 真夜中を、そっと 告げる 点滅信号。
日付が 変わる その瞬間まで、
君は ひたすら、其処にいる。
 
君の 瞳は どんよりと、
君の 意識は ぼんやりと、
君は 呟き 呑みこんで、
君は 力を 失って。
 
今も 霧雨 降りしきる。
氷雨に 打たれた 骸を 想い、
ともに 失われていく 体温に、
君は 僕を 重ねて 泣いた。
血の気を 無くした、白い指。
生気を 欠いた、噤んだ 唇。
痩せた野良猫、宿も無く、草葉の陰で、鳴くように、
君は 雨を 滴らせ、潰れた咽喉で、啼いている。
 
   僕の 声が 聞こえたら、君は この場を 立ち去るだろか。   
   僕の 姿が 見えたなら、君は この場を 忘れるだろか。   
僕の 些細な 過ちが、君の 足に 釘 打って、
僕の 愚かな 行動が、君の 時間を 停めている。
 
もしも あの瞬間に、君が それを 見ていたら、
もしも 最期の言葉を 君に、ちゃんと 告げていたならば、
もしも 君が 傍らで、僕の死を 看取って いたならば、
君は 揺るがない この事実を、
君は 戻らない この現実を、
流れさった 血痕のように、流した 涙と ともに、
深い 深い 悲しみも、悔やみ 悔やむ 記憶と ともに、
やがて 薄れて、消せたのだろか。

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