貴方の指が 触れる時、
貴方の口が なぞる時、
貴方と重なり、離れる肌を
貴方と交わす、荒げた 呼吸。

追いかけて、なぞらえて、反芻して、
快楽だけを 求めれば、
私の血流は 沸騰し、逆流し、
篭る内の熱が、理知を鈍らせ、視界を遮り、
漂う思考を 快楽の 切れぬ環へと 閉じ込める。

貴方を 好きだと 錯覚し、
貴方を 愛すと 洗脳し、
私は 歓喜に 打ち震え、在るがままの 快楽に、 
狂奔、うねり、あえいで、嗤い、
爪を立てて、みじろいで、
髪を乱して、口を開け、
甘い 甘い吐息と声で、飾り立て、
そうして 私は 思い込む。

産まれたままに 生きれたら、
誰も 悩む 事はない。

人は 人で或る事を、想う度に 変ってく。
人は 人で或る為に、己以外の自分を 創る。
人は 人で或る故を、演じる事で 為してゆく。

もしも 途中で 目覚めたら、
もしも 瞬間に 気付いたら、
私の 身体は 冷えてゆく。
熱した鋼は 水の中、
つんざく音は 私の悲鳴。
激しい蒸気は 私の心。

凍った 心は 置き去りに、
身体だけが 連れ去され、
虚しい 声は 人事で。

私を 見下ろす 私が 其処に。
気だるい 身体は 他人のように、
離れた 身体は もとより 独り。
とおに醒めてる 私の脳が、
未だ 擬態を 指令する。

http://www.rinku.zaq.ne.jp/haruka-akito/

コメント

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

まだテーマがありません

最新のコメント

日記内を検索