月輪の都 『無情』

2002年11月8日
振り返らない 君の背が 微かに 震えていた事を
決して見逃す 訳じゃない。

そぼ降る雨を 引き連れて、憐れを誘う 立ち姿。
柳のように しな垂れて、尾を引く線は 見返り美人。

一度 伸ばした この掌(てのひら)を、
留めて握る 氷雨には、術を 持たない 己が映る。

強く引き寄せ 抱き占めて、体の温もり 伝えても、
心に 巣くった戸惑いは、拭いされない 闇を産む。

一時しのぎの 気休めを、君は それと知りながら、
いつも求めて 漂って、浅い別れを 繰り返す。

君の手官に 乗る振りを、
君の言葉を 呑む振りを、
僕は 演じきれば よかったか?

君が求める 快感を、
君が欲する 悲しみを、
僕は 与えれば よかったか?

風に一葉が 舞うように、くるくる回り 踊るよに、
弄れて 流されて、君は それに 酔っている。

舞台は 場末の 吹き溜まり、けらけら笑う 情婦のように、
幸薄い眼を 伏せながら、陰を背負って 酔っている。

健気に笑う 素振りして、
己に鞭打つ 姿して、
哀しき性を 餌にして、
手薬煉 隠して 時を待つ。

君に 興味を 示すもの、必ず 君を 喰い荒らす、
骸のように 転がって、無惨な姿を 晒しても、
白い骨は 微笑ってる。
かたり かたかた 音を立て、薄皮一枚 剥ぎ取れば、
君の本性 されこうべ。

君は 誰も 愛せない。
自分の事しか 愛せない。
好いた男は 星の数。
惚れた男は 人の数。

けれど 誰も 愛せない。
悲劇を纏う 自分だけ、
君は 愛を 求めてる。

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