月輪の都 『楔』

2002年7月15日
形無く、姿無く、確約の無い、
そんな楔が 此処にある。

時に 熱した鋼へと、
時に 凍てつく息吹へと、
時に 砕けぬ金剛石へと、
時に 散らばる硝子へと。

一度 刺さったこの刺は、
心の蔵の 奥深く、常に 疼いて、
忘れ去る事を 許さない。

もしも 楔が 見えたなら、
それは 誰に 繋がって いるのだろう。
けれど、楔は 見えぬから、
より 思いは 強くなる。
より 思いは 儚くなる。
より 思いは 鮮やかになる。

だから 誰よりも 残酷に 貪欲に 我儘に
だから 何よりも 真剣に 純粋に 無邪気に

私は たった一人の 私になる。 
戻りたかった たった一人の 私に帰る。

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