月輪の都 『痕』
2002年7月8日翼をもいだ 背中が痛い。
角をそいだ 額が痛い。
牙を抜いた 口が痛い。
爪を折った 指先が痛い。
鬣をそった うなじが痛い。
水掻きを切り取った 指が痛い。
裂けた口を縫い付けて、余分な瞳を潰して
尖った耳を整えて、長い尻尾を切り落とし、
俺は 儂は 我は 妾は
人に混じれると 思ったのに。
露になった肉は 何時まで経っても 塞がらぬ。
余計なものと 捨てたものは
たちまち 腐り果てたのに。
惜しむように 懐かしむように そして罰のように
血を流しつづけ、腐臭が漂い、激痛が襲い来る。
俺は 儂は 我は 妾は
人になろうと したのではない。
ただ、生きてゆくために まぎれようとしただけ。
奔流となって 荒れ狂う 人という波に。
僕は 私は 吾は 朕は
何を捨てたのか、目には見えないものだけど、
同じように きっと同じように 傷痕を抱えてる。
彼らと同じように、同じように 膿んだ傷口に
鋭く磨いだ 爪を立てている。
角をそいだ 額が痛い。
牙を抜いた 口が痛い。
爪を折った 指先が痛い。
鬣をそった うなじが痛い。
水掻きを切り取った 指が痛い。
裂けた口を縫い付けて、余分な瞳を潰して
尖った耳を整えて、長い尻尾を切り落とし、
俺は 儂は 我は 妾は
人に混じれると 思ったのに。
露になった肉は 何時まで経っても 塞がらぬ。
余計なものと 捨てたものは
たちまち 腐り果てたのに。
惜しむように 懐かしむように そして罰のように
血を流しつづけ、腐臭が漂い、激痛が襲い来る。
俺は 儂は 我は 妾は
人になろうと したのではない。
ただ、生きてゆくために まぎれようとしただけ。
奔流となって 荒れ狂う 人という波に。
僕は 私は 吾は 朕は
何を捨てたのか、目には見えないものだけど、
同じように きっと同じように 傷痕を抱えてる。
彼らと同じように、同じように 膿んだ傷口に
鋭く磨いだ 爪を立てている。
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